ハリソン・フォードの最新作『野性の呼び声』が公開中ですね。
今のちびっ子たちでもハン・ソロだと言えばわかるのではないか、というくらい何十年も愛されている名画『スター・ウォーズ』のハリソン・フォードです。
あの頃あんなにお若い青年だった彼も、最新作ではリアルに「お爺様」の域に入って来ていますね・・・そう思うと感慨深いものがあります。
ただ『野性の呼び声』は冒険映画です!
引退した老人の、「静かな余生にささやかなハプニングが・・・」的な映画では全くないのですよ。
それが筆者にはものすごく嬉しいです。
今回は『野性の呼び声ディズニー映画原作は実話?あらすじネタバレを紹介』のタイトルで、この映画の原作についてお話します。
ディズニーからの冒険映画・・・これは実話が元になっているのでしょうか?
あらすじはネタバレつきでご紹介します。
もくじ
野性の呼び声ディズニー映画原作は実話?
『野性の呼び声』のワンちゃんたち少し表情豊か過ぎだし賢すぎないか?と思ったけど、銀牙みたいなもんだなと思うことで普通に納得できた。 pic.twitter.com/kItbZsBH7g
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) March 1, 2020
『野性の呼び声』の原作は、19世紀アメリカの作家ジャック・ロンドンが書いた中編小説で、原題を「The Call of The Wild」といいます。
邦題では「野性の呼び声」もしくは「荒野の呼び声」のタイトルで翻訳されています。
バックという犬がさまざまな経験を通して環境に適応し生き抜く力を身に着けていく物語です。
この作品はフィクションです・・・実話ではありません。
しかしジャック・ロンドンがこの物語を書いた背景となる社会情勢や個人的なエピソード、彼の思想などはかなり正確な事実として広く知られており、それが作品に明確に再現されているところに人気や評価のポイントがあるようです。
作品の内容と同じくらい、ロンドンの人生そのものにもスポットライトが当たるゆえんです。
原作『野性の呼び声』が誕生した背景とは?
ジャック・ロンドンが『野性の呼び声』の1つ前に書いた作品は、『ディアブロー ある犬』という、やはり犬の物語で短編小説でした。
犬の名前は「Bâtard」、aの上に”アクサン・シルコンフレックス”というフランス語特有の山型記号がついているので、フランス語の名前じゃないかと思います。
だとすると発音は「バタール」ですね。
バタールは飼い犬なのですが、飼い主を殺してしまうのです。
当時すでにジャック・ロンドンは職業作家として文筆業で生計を立てていましたから、彼の書いたこの小説は雑誌「コスモポリタン」に掲載され、少なくとも雑誌の購読者にはすぐに読まれて認知されました。
雑誌『コスモポリタン』について
ちなみに「コスモポリタン」といえば、現代は女性のファッション雑誌として有名ですよね。
創刊当時は文芸中心の家庭向け総合雑誌だったそうです。
1886年創刊ということなので、19世紀の昔から、すでに134年も続いている雑誌なんですね!
ジャック・ロンドンの『ディアブロー ある犬』が掲載されたのは1902年のことでした。
彼はこの小説で犬の性格を狂暴に表現したことで、世間の一般的な犬に対する印象が悪くなるのを恐れて、これとは対照的な、善良な犬の物語を「短編で」書こうと思ったそうです。
狂暴かつ邪悪な性質を持つバタールと、『野性の呼び声』の善良なバック。
2頭の犬の対比で、犬という生物の概念を良いとか悪いとかではない、中立のものとして考えて欲しかったのですね。
しかし『野性の呼び声』は、書き始めると彼の思惑をよそに、物語は当初予定されていたページ数をはるかに超えて展開していきました。
完成した作品は32,000語・・・予定の4,000語の8倍という長さで落ち着きました。
アラスカでの体験が物語の基礎を作った
ジャック・ロンドンが『野性の呼び声』の主人公バックの構想を得たのは、ゴールドラッシュに乗り金鉱採掘に出かけた先のアラスカでのことでした。
金の採掘の現場となるクロンダイクへ向かう道は急勾配の続く厳しい峠道で、当時、資材運搬の主力だった馬たちには過酷な道のりでした。
無理が祟って倒れる馬たちが多く、その道は「デッド・ホース峠」と呼ばれたそうです。
道すがらあちこちに倒れた馬の死骸が転がっていたからです。
それに引き換え、長く温かい毛皮に包まれ、小型で丈夫な犬たちは馬に代わる戦力として重宝され、そり犬として高値で取引されるようになりました。
ジャック・ロンドンはゴールドラッシュの期間中、現場で優秀なそり犬を多く目にすることになり、バックというキャラクターを形作る犬の習性を観察する機会を得たのです。
野性の呼び声ディズニー映画あらすじネタバレを紹介
『野性の呼び声』金持ち屋敷育ちの犬が、冒険を経て段々と精悍な顔つきになっていく!息を飲む美しい映像を通して、ワンちゃんの成長を描く冒険ドラマ。犬の成長に犬バトルに犬同士の友情と、どこを切り取ってもモフモフで眼福。銀牙感がある表情豊かなワンちゃんたちの動きを見ているだけで楽しいよ。 pic.twitter.com/aEOSPUcjqa
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) February 29, 2020
主人公バックはミラー判事の飼い犬として、カリフォルニア州の自宅で幸せに暮らしていました。
しかし4歳になったころ、バックは庭師の助手をしていた人物にさらわれ、売り払われてしまいました。
当時、犬たちは馬に代わる資材運搬用の家畜として高値で取引されていたのです。
バックを買った男は犬販売業者で、こん棒を持っていました。
シアトルまで連れてこられたバックは、輸送中に受けた虐待に怒り、この犬販売業者に襲い掛かりますが、逆にこん棒で殴られ、この時以降「こん棒を持った人間には逆らわないほうがよい」ことを学びます。
シアトルで犬販売業者からバックを買い取ったのはフランス系カナダ人で、郵便配達をしている夫婦でした。
バックは彼らの下、シアトルからカナダのユーコン準州クロンダイク地方へ移動し、他の犬たちと共にそり犬として働き始めます。
ここで出会ったのは先導犬のスピッツです。
チームのリーダーとなるバック
スピッツは性悪でした。
チームに入るや否や、周りの犬たちからチームで生きる術を素早く学び取り、仲間の信頼を得ていくバックのことが気に入りません。
ついに闘いを挑まれたバックは、逆にスピッツを打ち負かし、スピッツは姿を消しました。
原作ではそこでスピッツはエスキモー犬の群れに殺される羽目になるのですが、映画ではただ暗闇の雪の中を去っていくだけの退場です。
スピッツに代わり先導犬となったバックは、優れたリーダーシップを発揮します。
甘やかされて育ったわがままで奔放な飼い犬だったバックが、犬そりを先導するリーダーとなり、この仕事にやりがいと自信を持つようになるシーンにはワクワクして、全体を通して見ても一番の見せ場だと思います。
ソーントンとの生活
やがてバックたちそり犬チームは、政府の命令によりスコットランド系の男ハルに売り払われました。
電報のシステムが稼働するようになり、手紙を運ぶ仕事の需要がなくなってしまったからです。
バックたちはハルと共に旅をすることになりましたが、この人物には極寒の地で生き延びた経験もなく、犬の扱いにもまるで無知でした。
ハルはバックたちそり犬を酷使し、無謀に旅を続けようとします。
逆らおうにもハルはこん棒を持っているため、バックは逆らえません。
しかし、目前に氷の薄い川が現れた時、バックはとうとう足を止め、その場にうずくまりました。
「この氷の上を進めば、必ず割れて川に落ちる」バックはそう知っていたかのように、もう起き上がることさえもしませんでした。
ハルは力づくでもバックを動かそうとこん棒を振りかざし、銃を向けました。
そこへ助けに来たのがソーントンです。
ソーントンは熟練のアウトドアマンでした。
ハルたちに「この先は氷が解け出していて危険だ」と説明しますが、ハルは聞く耳を持ちません。
ソーントンはバックをハルから引き離し、ハルは他の犬たちを連れて去っていきました。
ソーントンとバックはシアトルで初めて顔を合わせて以来、それまで何度か会っていました。
初めて会った時にはソーントンが落としたハーモニカをバックが港まで届け、次に会った時にはソーントンが締め切りまでに出しそびれた手紙をバックが受け取り、その日の便に間に合わせてやりました。
ハルが無理やりバックたちそり犬のチームを働かせようとしているのを見つけて、ソーントンは心配になり様子を見に追ってきたのです。
この日から、ソーントンはバックを引き取り、一緒に暮らすことになります。
野性に還るバック
ソーントンは息子を熱病で亡くし、傷ついた心を持て余しています。
妻とも心が離れ、ひとり家を出て旅をしていました。
誰とも一緒にいたくなかったソーントンのかたくなな心はバックと出会い、共に暮らすことで癒されていきます。
いっぽうバックは、ソーントンが昼間金の採掘をする間、森に出かけていき狼たちと交流をするようになります。
狩りを覚え、野性の狼たちと触れ合うことで、バックの中にあった野性の本能が呼び起こされるようになるのです。
夕方、森からソーントンのもとへ帰ってくると、バックはソーントンとの愛情と絆に幸せを覚え、また朝になると狼たちと野性の暮らしを共有するという生活になります。
ある時、ソーントンに恨みを抱いていたハルが現れ、ソーントンはハルに打ち殺されてしまいました。
原作の中ではバックはソーントンの最後を見届けることはできませんでしたが、映画の中では彼がソーントンを看取ります。
ソーントンと別れたバックは、二度と人間の文明の中には戻らず、森に姿を消しました。
狼たちのリーダーとなり、バックは野性の犬となったのでした。
原作のエンディングでは、バックはその地に暮らす人たちから「幽霊犬」と呼ばれ、夏になるとソーントンが死んだ谷にバックが降りてきて長い遠吠えをする、と語るくだりがあります。
映画では最後にバックの新しい家族が登場し、狼との交配で生まれた仔犬の姿も見ることができます。
まとめ
【特集】描き下ろしイラストも!高橋よしひろが語る「野性の呼び声」 | 「銀牙」ファンは観るでしょ!涙腺を刺激する犬と男の冒険活劇 #高橋よしひろ #野性の呼び声 https://t.co/TgywXrp8Dw pic.twitter.com/RSik4GUvEU
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) February 28, 2020
今回は『野性の呼び声ディズニー映画原作は実話?あらすじネタバレを紹介』についてお話しました。
ディズニー映画らしく、美しいアラスカの自然と生き物たちの心の触れ合いが色濃く描かれた作品です。
原作『野性の呼び声』は実話ではありませんが、作者のジャック・ロンドンは実際にそり犬として活躍する多くの犬を観察し、当時のアラスカでの社会背景をリアルに体験してこの小説を書きました。
原作も発表直後から大変な人気だったそうですが、この映画ではさらにバックの心情を映像で表現していてとても愛らしく共感できます。
あらすじはネタバレつきでご紹介しました。
詳しくは本編をご覧くださいね♪