フォードVSフェラーリの結末ネタバレ!ラストの展開を考察してみた

フォードVSフェラーリラストの展開を考察してみた
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『フォードVSフェラーリ』が公開されました。

まだ見ていない方、感想だけ読んで「あのラストはないやろ」とか「もやもやするラスト」とか「切ない」とか「おとぎ話じゃなかった」とか・・・何やらラストの展開が微妙らしい、という印象持たれていませんか?

今回は『フォードVSフェラーリの結末ネタバレ!ラストの展開を考察してみた』のタイトルでお届けします!

つまり結末をネタバレつきで紹介、どうしてそうなるのかという考察まで、ご紹介します。

知りたくない方はこの記事は飛ばしてください~!

 

もくじ

フォードVSフェラーリの結末ネタバレ!

『フォードVSフェラーリ』は実話に基づく映画ですが、この話をご存知の方は非常に稀でしょう。

たとえF1好きでも知らない人がほとんどのはず。

この映画は、1966年の『ル・マン24時間耐久レース』でフォードがフェラーリに勝つまでのプロジェクトを描いたお話なのです。

クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズとマット・デイモン演じるキャロル・シェルビーが手を組み、フォード車をレースに勝てる車に改良して臨む話です。

フォードは勝つ。

それがわかっていながら、何が「モヤモヤする」のか??

そこがこの話のミソなんです。

 

1966年ル・マン耐久レースで何が起きたのか?

ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)はレーススタートから2位より4ラップもリードしてトップを独走していました。

このまま行けばケン・マイルズのチームが優勝することは間違いありませんでした。

しかしそこでフォードの上層部から指令が入ります、「スピードを落とせ」と。

この時レースはケン・マイルズを始め3台のフォード車が1位から3位を独占していました。

フォードはこの年のル・マンに合計8台のGT40を投入し、なんとしてでもフェラーリに勝とうとしていたのです。

レースがいよいよフォード車の表彰台独占優勝を約束するような展開になった時、上層部にはもう1つ、どうしても手に入れたいものがありました。

ゴール瞬間のフォトショット、それもフォード車3台のデッド・ヒートフィニッシュです。

 

フォードは企業PRのためにゴールインのベストショットが欲しかった

ル・マンでの優勝で「フェラーリよりも高性能、高スピードの車」として自社をアピールしたかったフォード社にとってこのフォトショットは非常に重要でした。

上位2車ともフォード車で接戦となれば、対外アピールにはもってこいです。

そこでケン・マイルズにわざとスピードを落とすように指示したのです。

マイルズはこの指示にもちろん不服でしたが、従いました。

結果は、2位と3位のフォード車がマイルズの車と接戦でゴールインし(パワフルショットはばっちり撮れました)、あろうことか1位を取ったのはスピードを落として仲間を待ったマイルズではなく2位だったはずのマクラーレンだったのです。

フォード社はこのゴールインについて、主催者であるACO(フランス西部自動車クラブ)に3組同時1位としてくれるよう交渉していたのですが、ACOは次の2点を理由にフォードの依頼を退けます。

①マクラーレンの車のスタート位置がマイルズの車より後方にあったこと(ル・マンは24時間で走行した距離を競うレースのため)
②『ル・マン24時間耐久レース』の規約の中に「同じメーカーの車が接戦した際にはデッドヒート扱いにはしない(同時1位の扱いなし)」という一文が見つかったこと

結局、ケン・マイルズは2位という結果に終わるのです。

ね、モヤモヤするでしょ?

 

フォードVSフェラーリのラストの展開を考察してみた

実際この時どんな会話がフォード内で交わされていたか、資料を読むと詳しく出ています。

ケン・マイルズに2位が追い付くようにスピードを落とせ、と伝えたのは他でもないキャロル・シェルビーです。

ケンのパーソナル・エンジニアであるチャールズ・アガピウはこの件についてまったく知らされておらず、レース中に何かおかしいことに気づきました。

ケンはアガピウに「やつら俺を勝たせたくないんだ、マクラーレンを勝たせたいんだ!」と言います。

「ケン、そんなはずないよ、君は彼らから4ラップも先を走ってるんだよ、どうやって向こうを勝たせるんだよ?」

しかしケンはレースの主催者ACOからデッド・ヒート・フィニッシュはOKだと言伝されていました、つまりルール違反には当たらないということです。

断ればケンは今後フォードでのキャリアは無いも同然です。

彼は仕方なく指示通りにしました。

 

ケンの車に起きた不自然なハプニング

しかし意図的にスピードを落とす以前にもう1つ別の事故?もあったようです・・・ケンの車のローターがなぜかマクラーレンのほうとすり替わっていたのです。

ケンはブレーキに震動を感じてアガピウに訴えたのですが、ローターに異常があるとは思わなかったアガピウはタイヤ交換だけをしてケンを送り出しました。

送り出してからアガピウは、用意されていたローターがケンの車用に調整したものではなくマクラーレンの車のものだったことに気づいたのです。

結局、ケンは2度もピット・ストップを余儀なくされました。

アガピウは後にこの時のことを思い返して意図的に仕組まれたものではないか、と訝ったそうです。

この2度のストップのせいで、ケンがリードしていた4ラップは自動的に2ラップに縮まりましたが、それでも足らずケンが不自然にスピードを落としてマクラーレンら2位と3位のフォード車を待ち、同時にゴールインしたのです。

 

映画のラストに見るケンとキャロルの友情

映画のラストではケン・マイルズとキャロル・シェルビーがこの辛い忖度をどう受け止めて乗り越えるかが見せ場になると思います。

上層部からケンにスピードを落とすよう指示が出て、それを聞いたキャロルが自らケンに告げなくてはいけなかった気持ち。

共に勝利を目指して闘ってきたキャロルから「個人の勝利ではなくフォード社のPRのために」スピードを落とせと言われたケンの気持ち。

さらに1位をマクラーレンに取られて、2人はどんな反応を見せるのか。

意外とあっさり諦めて割り切るところがまた、頼もしくカッコいいという意見が多いです。

大人になったね、と2人の成長を見守ってきた友のような感想もありました。

実際の様子は、劇場で映画を観て確かめてみてください。

 

ケン・マイルズの死

ケン・マイルズはこの年、『ル・マン耐久レース』の数か月後、さらなる改良を続けていたGT40のテスト走行中に突然車がクラッシュし、命を落としました。

即死だったそうです。

キャロルはケンを失った悲しみを、なかなか乗り越えられません。

いかに尊い人材だったか、ケンの才能を誰よりも理解し尊敬していたのはいつの時にもキャロルだったのです。

 

まとめ

『フォードVSフェラーリの結末ネタバレ!ラストの展開を考察してみた』をお届けしました。

『フォードVSフェラーリ』の結末は、王道の「ハリウッドサクセスストーリー」的なエンディングとはならないようです。

実話に基づいているゆえに、最後の最後まで企業戦略が介入するのです。

実際に1966年のレースでどんなことがあったのかをネタバレとしてご紹介しました。

ラストの展開でポイントになるのは、事実を踏まえて主人公の2人がどんな反応を見せるのか、だと思います。

映画の感想、評判からこんな感じではないか、という展開を考察してみました。