ET映画はなぜつまらない?意味不明な謎も解説しよう

ET映画はなぜつまらない?意味不明な謎も解説しよう
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どんな名画と言われる作品でも、万人が賞賛するわけではないのが映画の面白いところだ。

観る人が受けた印象こそが作品の良し悪しを物語るとも言えるので、当然だと思う。

スピルバーグ監督が押しも押されもしない実力を世界に轟かせることになった映画『E.T.』も、観る人によっては「つまらない」「意味不明」「謎だらけ」と映るんだろうね。

かく言う私も、この映画が公開された当時は小学生だったが、取り立てて映画館に行って観たいとは思わなかった。

さらにこの映画の良さを本当に受け入れるまでには何度か繰り返し観る必要もあった。

だから、最近になって初めて映画『ET』を観た人がつまらないと思ったとしても、気持ちがわかる部分もある。

今回はその賛否両論の立場からET映画の見どころ・ツッコミどころを紹介したい。

ET映画を名画だと思う方には、なぜこの映画をつまらないと言う人がいるのか考察する際の参考になれば良いと思う。

逆に、ET映画をつまらないと思う方は、当時、劇場で熱狂した人たちにはどんなところがウケたのかを紹介しようと思う。

またこの映画に出てくる謎や意味不明なポイントについても解説するので、ぜひ最後までお付き合いいただきたい。

 

もくじ

ET映画がつまらないのはなぜ?意味不明な謎を解説

ET映画がつまらないと言う人は、あなただけではない。

公開から40年経ち、その間に誕生した若い世代の人たちにも広く知られるようになった今、映画『ET』がつまらないと言う声は意外とあちこちで聞かれるものだ。

その一部をご紹介しよう。

 

ET映画がつまらないと思う(orマイナス評価のある)人の声

注目したいのは、つまらないと言っている人たちが映像そのものよりもストーリーについて「つまらない」とコメントしている辺りだ。

彼らは当時の映像技術について不満を持っているわけではない。

ストーリーに共感できないのだ。

理由の一つは、”ETと少年の友情”というコンセプトに新鮮味を感じないということではないかと思う。

もうひとつは、ETの見た目や動きかな。・・・CGではないし、ETの中の人は俳優さんで、普通に人間的な動きしかしないし、目新しさが無くて面白くないんだろう。

人間みたいにテレビ観たり、ビール飲んで酔っ払ったりね。

あまりにもたくさんの映画で、あまりにも多様なエイリアンや地球外生命体の姿やストーリーを目にしていると、そこと比べてしまって映画『ET』をそれほど高く評価できないというのはとてもわかる。

 

ET映画が面白いと思う人の声

では次に、映画『ET』を面白いと言っている人の声をいくつか紹介しよう。

彼らはどの辺に感動しているのか?

クサイ、そうクサイのよ。笑

言い方が良くないとは思うけど、映画『ET』の良さは、ETとエリオットの”友情と絆”、まぁ言ってしまえば”クサイ”テーマなのだ。

だけど当時では宇宙人であるETと、人間の少年が心を通わせ友情を育むというストーリーは、真新しくてスリリングで最高に楽しいものだったのだ。

映画が公開された当時、なぜ映画『ET』はそれほどまでに感動を呼び、泣ける名画と絶賛されたのか、解説しよう。

 

なぜET映画に大人も子供も感動したのか?

映画『ET』が公開された1982年当時まで、世界には「宇宙人は恐ろしいもの」という漠然としたイメージがついていた。

そのイメージを見事にくつがえしたのが、この映画だったのだ。

子供のころから何かにつけて「火星人に食べられちゃうよ」とおどかされて育った当時アラフィフの大人たちも、その子供たちにとっても、「ET”宇宙人”は怖い」イメージだったのに、この映画を観に行った親子はみんな、そのイメージをくつがえされて劇場を出てきた。

ストーリーに引き込まれてみんながエリオットに感情移入し、ETとの友情を目の当たりにして、すっかり感動してしまったのだ。

それまでの「ETは怖い」説がいかに根強かったか、ということだろうと思うが、そもそもなぜそんな説が定着していたかといえば、きっかけとなった出来事はいくつかあった。

一番強烈だったのは、映画監督であり俳優のオーソン・ウェルズが仕掛けた”いたずら”のようなラジオ放送だ。

 

【ET怖い説】裏話1:”火星人襲来”のニュースに世界が注目!

1938年10月、アメリカのCBSラジオで毎週『マーキュリー放送劇場』を演じていたオーソン・ウェルズは、SF小説『宇宙戦争』の翻訳版を放送することにした。

舞台を現代のアメリカに置き換えて、いきなり「臨時ニュースをお伝えします・・・」のアナウンスで始め、火星人が襲来してきた様子を実況中継するかのような放送を始めたのだという。

後になって、視聴者が本当に火星人が襲来したと信じてパニックになったわけではなかったことが判明したが、少なくとも当時は”大騒ぎになった”と大々的に報道され、オーソン・ウェルズの名に世界中の注目が集まったそうだ。

大人は火星人が襲来するなんてあり得ないと笑っていたかもしれないが、子供たちは相当怖がったんじゃないかと思う。

それ以来、ことあるごとに「良い子にしないと火星人が来るよ」とおどかすネタになったらしい。

それが映画『ET』が公開されるまでの人々の宇宙人へのイメージとして定着していたのだ。

 

【ET怖い説】裏話2:ミステリーサークルの出現でET(宇宙人)への関心が加速

UFO目撃証言は太古の昔からあったようで、文献も残っているというが、「証言」というのは大抵が事後報告なので、目撃した人数がごくわずかだ。

ニュースになる機会もほとんどないのが実情だと思う。

しかし1978年からたびたび発見されるようになった”ミステリーサークル”の場合は、別だった。

当時、小学校に入る前だったわたしでも、ミステリーサークルという現象がイギリスで発見されたというニュースがあったのを覚えているし、映画『ET』が公開された1982年までにはもう何度かテレビで報道を目にしていた。

UFOはニュースで報道されることはなかったが、ミステリーサークルはナスカの地上絵のように、もうそこに存在しているのでヘリコプターからの映像などがニュースになった。

「誰が、何の目的でこんなものを作るというのか?これは宇宙人の仕業ではないか?」

というのが当時、世界中で関心を集めたミステリーだった。

地球に、宇宙人が来ているかもしれない。

それは人間を襲う恐ろしい生物かもしれない。

そんな風にUFOや宇宙人は、不穏なイメージを呼び起こす存在だったのだ。

 

【ET怖い説】裏話3:ET映画のお菓子がハーシーではない理由

スピルバーグ監督は、映画『ET』を制作する際、エリオットがETをおびき寄せるために森に撒いたお菓子を、当初はハーシー社から提供してもらおうと考えていた。

ところがハーシー社の答えはNOだった。

「宇宙人の映画に当社のチョコレートを提供して子供たちが怖がったらイメージダウンになる」と恐れたそうだ。

そのためスピルバーグ監督は、代わりに当時から競合していたチョコレートメーカーのリーシーズ社に提供を依頼した。

この経緯はこちらの記事で詳しく紹介しています↓

これが映画ETの大好物お菓子!M&Mとリーシーズ・ハーシーの違いについて

今でこそ、地球外生命体との交流や他の惑星に行って人間が活躍する映画などが大量にあるため全く新鮮味はないが、宇宙人ETと人間の子供が純粋に友情と絆を育む話とは、当時はとても斬新なアイディアで、大人も子供も感動に打ち震えて泣けるストーリーだったのだ。

 

ET映画の意味不明な謎を考察&解説

理解不能な会話やシーンを目にすると途端に熱が冷めるというのはあると思う。

共感でなく疑問のほうが大きくなって、ストーリーにうまく入っていけない。

映画『ET』では例えばどんな意味不明な謎があったのか、考察してみたい。

 

謎1:母親の謎。父親はどこ?なぜETに理解がない?

エリオットの家は、両親が離婚の危機にあり父親はサリーという女性とメキシコにいる、というのが物語の序盤でわかる。

スピルバーグ監督の両親も離婚をして、子供の頃つらい経験をしたそうだが、その時の苦しみを乗り越えた過程を、この映画『ET』で表現したのだそうだ。

スピルバーグ監督が伝えたかったメッセージは両親が離婚した子供たち全てに向けてのものだったため、この作品では片親の設定が必須だった。

でもガレージでエリオットとマイケルが父親のシャツを取り出して思い出を語る辺り、子供には良いお父さんだったようだから、残念とも思う。

でももしその父親がこの家にいたら、多分エリオットはETを「僕が守る」という風にはならなかったろうし、両親の助言に子供らしく従ってETをすぐに警察に引き渡してしまっていたかもしれない。

父親がいなかったことによって、エリオットは自分自身で選択し、どう行動するかを考えるようになった。

早くから自立心が芽生えて、自分の気持ちを大事にすることを学んだのだと思う。

また、そうでなかったらETは地球の誰とも心を通わせることができず、自分の星に帰る前に命尽きていたかもしれない。

それにしても初めてETを目にした時の母親の反応には理解できない人が多かったのではないだろうか?

エリオットたちが友達だと言っているのに子供たち全員を無理矢理引き離して、家から逃げようとさえしていた。

多分、観客たちがみんな、あの時の母親の行動に対してブーイングを発することを期待して、あえてスピルバーグ監督はああいう演出をしたんだろうと思う。

あの時点で見ている観客もみんな、「宇宙人は怖い」から「ETはトモダチ」側に概念がひっくり返ってしまったことを自覚したことだろう。

その点もまた、当時の人たちにとっては映画によって世界観を転換させられた新鮮な体験だったに違いない。

 

謎2:なぜETとエリオットの病気がリンクするの?

ETは優れた共感能力を持っている。

地球にもスピリチュアル的に優れた感覚を持つ人たちはいるから、彼らはETに近いかもしれない。

言葉でなく相手の発するオーラや気などのエネルギーから、その人自身とその人を取り巻く環境についての情報を察知し、深いところで理解する。

エリオットがETに自分の名前や地球のことを説明した時、ETが「ふむふむ」と相槌を打っていたが、あの時点でETはエリオットの言葉は理解していなかった。

エリオットが発していたエネルギーから直接、テレパシーのように説明の意味をくみ取っていたということだ。

ETは地球や人類についての情報がわからないから、エリオット自身にチャネリングして、エリオットが認識している情報を直接ダウンロードしたのではないかと思う。

ETに興味を持ち、友達になりたいと願ったエリオットも、ETを自然に受け入れたため、二人の間には自然とエネルギーが行き来するようになった。

心身共にシンクロし、感情も体調も同じような状態に陥ったということだろう。

 

謎3:鍵の男はなぜ急に友好的になったのか?

この「鍵の男」は、自分も幼い頃に宇宙人に遭遇したことがあると言っていた。

でも彼にはエリオットとETのように、宇宙人と友達になれたという体験はなかったから、二人の友情を知るまではやはりETも有害な生物かもしれない、という警戒心があったのだろう。

ET無害で、エリオットにとって大事な友達になっていることが理解できて初めて、警戒心を解くことができ、友好的に見守れるようになったのだ。

一説によると「鍵の男」はスピルバーグ監督自身を投影した存在、ということだから、

「これまで宇宙人は怖くて有害だと思っていた」一般の大人の認識から「こんな風にETと心を通わせる子供がいたら心を開いて見守りたい」と願うようになったスピルバーグ監督の思いを表現したキャラクターなのかもしれない。

 

謎4:大人たちのファッションが宇宙服なのはなぜ?

これについては、わたしも謎だし意味不明と思う。

あの宇宙服に身を包んだNASAの大人たちは、ETはエリオットの家で自ら真空状態を創り出しカプセルの中で生きているとでも思ったのだろうか?

もしくは月面着陸をした人間の姿をどこかから見ていたと仮定して、宇宙人にとって見覚えのある姿で現れたほうがコミュニケーションが取りやすいと思ったか?

しかも窓から腕を突き出してマイケルたちを掴もうとしたり、勝手に大勢で押し入って来たりして、とても公の機関がまともな仕事で訪ねてきたとは思えない、威圧的な演出だ。

ああいう理解に苦しむシーンを観て、???となり冷めてしまう方もいるんじゃなかろうか。

子供にはただただ「怖い」と感じる「大人たちの登場」シーンだったと思う。

子供の目線なら、あの宇宙服を見て「あぁこれは宇宙人との話だったな、ETは宇宙人なんだな」と再確認するだけで「酸素があるのになぜ・・・」とまでは思わなかったかもしれないが。

わたしは、この映画を初めて観たのはテレビで地上波放送された時だったから中学生くらいにはなっていたが、怖かった。笑

怖かったし、同時に若干の違和感を覚えた。

調べてみたけど、スピルバーグ監督の明確な意図はわからなかった。

わかったらこちらに追記します。

 

謎5:子供もいるのになぜ銃を構えるの?

これもね~、試写会ですでに保護者からクレームが来たらしく、一旦は銃じゃなくて虫取り網だったか何か・・・それほど危険を感じない別のものを構えたシーンに撮り直しをしたらしい。

でも撮り直したそのシーンを観てみたら、とにかく見られたもんじゃないとスピルバーグ監督自身が感じたそうで、その時に「もう金輪際、一度完成した作品を修正するなんて野暮なことは止めよう」と決意したんだそうだ。

子供達が乗った自転車が空中に飛び上がるしかない絶体絶命の状況を作りたかった、ということらしく、それ以上は深く思いつめないで欲しいところらしいです。

参考サイト:
https://ja.wikipedia.org/未確認飛行物体
https://ja.wikipedia.org/wiki/E.T.
https://ja.wikipedia.org/wiki/ミステリー・サークル
https://ja.wikipedia.org/wiki/オーソン・ウェルズ

 

まとめ

映画『ET』をつまらないと思う方がいても不思議はない。

公開された当時、この映画が世界に与えた衝撃と影響力を知っている人たちには「永遠の名画」となっているが、当時子供だったわたしも、今回の記事で触れたような意味不明な謎については疑問を持ったし、すんなり受け入れにくい時期があった。

だから、ETを面白いと思う方もつまらないと思う方も、反対の意見の人がどの辺りに注目してそのように評価しているのか、今回の記事を参考にしていただけたらと思う。

世代の違う人、意見や感じ方の違う人の視点を知るのも面白いのではなかろうか。

意味不明なポイントや謎について、可能な限り解説してみたが、なぜなのか調べても考えてもよくわからないところもあった。

その点については皆さんの見解にゆだねたいと思う。