映画『ET』で、エリオットがETをおびき寄せるために撒いたマーブルチョコのようなお菓子。
ETは、地球で初めて食べたこのお菓子が美味しかったからこそ、エリオットのところへ姿を現したのだと思います。
一番印象に残っているのは、食べる「音」!
まず森の中で「カギの男」がエリオットが撒いたお菓子を拾って食べてみるシーンの、ガリガリ噛む音。
次にエリオットがETの歩く先にこのお菓子を置いて2階に案内したシーンの、階段の上に置いたお菓子をETがつまんで食べた時のガリガリ音。
このカリカリ、ガリガリいう音が妙に美味しそうに聞こえて、すごく興味をそそったものです。
それまでM&Mにはあまり興味がなかったのに、一時期しょっちゅう買って食べるようになりました。
しかし映画に出てきたお菓子は見た目がM&Mみたいだっただけで、本当は違うメーカーの、違うお菓子であったことを知ったのはつい最近です。
「あれはM&Mだ」
「違うよ、ハーシーズだよ」
「いやいやリーシーズだよ」
と、調べるたびにいろんな名前が出てくるので、一体何がどう違うのか調べてみました。
今回、金曜ロードショーでETが放送されるそうなので、その時には映画でETの大好物となったこのお菓子と、本当に同じものを食べながら見たいと思います。
是非あなたにもこの違いを知ってほしい!
調べたことをシェアします。
もくじ
これがETの大好物お菓子!
#ET
スピルバーグと80年代ポップカルチャーの相性の良さったら!ETってお散歩したりお花摘むのに夢中で置いてかれたんね😂Outer Wildsで宇宙船に置いてかれたイカさんと同じくらいかわいい
途中からエリオット少年が石原良純に見える呪いにかかっちまったのでドリュー・バリモアちゃんの勝ち pic.twitter.com/aQbn8mczvX— なぁ (@naa_movie) September 17, 2020
まず初めに、映画『E.T.』でエリオットが撒いていたお菓子は、
『リーシーズ・ピーセズ(Reese’s Piece’s)』でした。
決してM&Mではない。
確かに、映画を観た時エリオットが持ってるお菓子の袋がM&Mのとは違うなとは思ったのよ。
M&Mなら袋は黄色でしょ?
白状するとわたしが『ET』を初めて観たのはもう20年以上も前のことなので、その頃は今みたいにネットが発達してなかった。
ウィキだって今みたいに潤沢に情報が揃ってるサイトではなかった時代です。
だからわたしは、地面に落ちたお菓子の形状や色から、映画のお菓子と同じ味だと仮定してM&Mを食べていたというわけ。
ちなみに発音はリーシーズ・ピーシーズではない
わたしもつい最近まで「リーシーズ・ピーシーズ」と言ってたけど、このお菓子の名前の発音はリーシーズ・ピーシーズではなく「リーシーズ・ピーセズ」が正しいそう。
Youtubeにエリオット役のヘンリー・トーマスと新作『ET』のエディター、デイビッドが
「みんな発音が間違ってる!」
「ピーセズだろ、ピーシーズってなんだよ」
と言い合ってる対談があったので・・・アメリカ人でも「ピーシーズ」って言ってる人がたくさんいるってことみたいだね。
けど、本当は「ピーセズ」なんだって。
注意してね♡
M&Mとリーシーズ・ピーセズの決定的な違いとは
映画に出ていたのがM&Mではないというのは何となくわかっていたけど、M&Mとリーシーズ・ピーセズの決定的な違いを知った時はさすがにちょっとショックだった。
これら2つのお菓子は、メーカーが違うという単純な話ではなかったから。
まさか、味が全然違うとは思っていなかったんです!
当時のM&Mは普通のミルクチョコ・・・リーシーズ・ピーセズは・・・ピーナッツバター味でした・・・。
リーシーズのお菓子といえば有名なのはこのピーナッツバターカップですよね。
これはわたしも昔から大好物でした!
初めて映画『E.T.』を観たあの時から、ETの大好物が自分の大好物と被っていたと知っていたら・・・もっともっとETに親近感湧いてたのに!
正直言って、わたしはM&Mよりリーシーズ・ピーセズのほうが好みなんです。
今回、リーシーズ・ピーセズを改めて購入してみたけど、これはチョコレートキャンディとは書いてあるけどピーナッツの風味がしっかりしていて、ピーナッツバターカップをシュガーコーティングしたようなお菓子になっています。
こっちの味ならもちろん大好物だろうよ!
あの、(仕方なく)M&Mを食べながら「ETが美味しそうに同じお菓子を食んでいた」と想像していた時間はなんだったのか・・・!
M&Mとリーシーズ・ハーシーの違いについて
映画100本チャレンジ2020
88本目 E.T.
1982年作品。
スピルバーグ監督の代表作(代表作いっぱいあるけど)。
後にCGで加工されたバージョンも公開されたが、オリジナルの方が好き。
ドリュー・バリモア可愛い。#映画#ET pic.twitter.com/Ibmbbkj07W— Show-Ji (@DaijuTw225) September 19, 2020
ここからはM&Mではなくリーシーズ・ピーセズが映画に登場した理由と、ハーシーズとの関係について説明しますね。
もともと『ET』制作側は当時、チョコレートメーカーでは最大手だったM&M’sのメーカー「マース」にスポンサーの依頼をかけたんです。
でもマース社はこの誘いを断った。
それで競合していたもう1つのチョコレートメーカー「ハーシー」に話を持って行き、ハーシー社のブランドである「リーシーズ」のチョコレートが使われることになったんです。
マーズ社がM&Mを映画で使いたいという『ET』からの誘いを断った理由
M&Mチョコレートは当時すでに世界的に有名なお菓子でした。
このキャンディコーティングされたチョコレートは最初、戦地に向かう兵士たちに多く買われて行きました。
熱に強く溶けにくいので持ち運びしやすく、食べやすかったのです。
これを元にM&Mチョコレートは売上をぐんぐん伸ばしていきました。
『ET』が公開される1年前の1981年には、M&Mチョコレートはコロンビアスペースシャトルに乗せられ、「初めて宇宙に行ったチョコレート」となり話題になりました。
ちょうど『ET』を制作したのと同じころです。
チョコレートメーカーとして最大手の地位を確立していたマーズには、イメージがとても大切でした。
『ET』が宇宙人を主人公にした話だと聞いて、子供が怖がるような映画だったら商品の名に傷がつくと考えたのです。
それまで宇宙人といえば怖いイメージしかなかったんでしょうね。
まぁ、結果断ることにし、ハーシー社が代わりに引き受けたのですが、マーズのその判断は大間違いでしたね。
ハーシー社の『リーシーズ』チョコは『ET』の公開と同時に売り上げが爆上がりし、工場は3倍の稼働率で対応する羽目になったそうです!
そしてその後『リーシーズ』はとうとうアメリカ合衆国で最も売れているチョコレートブランドに成長してしまったのでした・・・
M&MってM&M’sっていう会社の商品じゃなかったの?
この話を知ってる日本人ってどのくらいいるんだろう・・・M&Mチョコレートは確かに元は『M&M’s』っていう会社の商品だったんです。
でも映画『ET』で協力を依頼した時点ではすでに、M&Mは会社名ではなく「マーズ社のチョコレート商品のブランド名」という位置づけに変わっていました。
どういう経緯で何がどう変わったのか、概要だけサクっとご紹介しましょう。
M&Mチョコレートの名前の由来はまさかの・・・
『M&M』このチョコレート商品の名前の2つのMは、「マーズ&マリー」の意味です。
マーズは言わずと知れたマーズ社の社長、フォレスト・マーズ氏のことです。
そしてマリーとはなんと、ハーシー社の社長、ブルース・マリー氏のことだったのです。
M&M’s社とは、この2人のMがそれぞれお父さんの会社の後を継いだ後、新しい世界観を求めて一緒に作った会社だったのです・・・!
フォレスト・マーズ氏は、イギリスの軍人たちがキャンディでコーティングされたチョコレートを重宝がっているのを間近に見て、M&Mチョコレートのアイディアを思いつきました。
これを新しいお菓子として開発し商品化するためには、ハーシー社のチョコレート製造の特許を持つブルース・マリー氏と協力し合うのが一番でした。
二人は新しい世界観を共有して一緒に会社を作ったのですが、M&M’s社が大きくなるにつれて、アイディアを出した側のマーズ氏は一緒に仕事がしにくいキャラに変わっていきました。
頑固で折れない、意固地なマーズ氏に付き合いきれなくなり、マリー氏は100万ドルでM&M’s社をマーズ氏に売却したのです。
その後、完全に自社の商品となったM&Mチョコレートは、すでにご紹介したように戦地では兵士たちの支えとなり、「最初に宇宙に行ったチョコレート」という称号も得て、やがて1984年のロサンゼルスオリンピックでは公式スナックに認定されることになりました。
フォレスト・マーズとブルース・マリー(ハーシー)はどっちが年上?
ブルース・マリー氏のほうが31歳も年上です。
ブルース・マリー氏:1873年 – 1950年
フォレスト・マーズ氏:1904年 – 1999年
こちらがお写真↓
ブルース・マリー氏(ハーシー社) | フォレスト・マーズ氏 |
マリー氏のほうが若い頃の写真なのでこの2つを並べるとマーズ氏のほうが年上なのかと思いきや、そうではありませんでした。
マリー氏は息子ほども年の違うマーズ氏の意固地に付き合うのが面倒になったんでしょうね。
結局リーシーズ・チョコはM&Mを抜いてアメリカ一になったし、良かったと思う。
リーシーズとハーシー社の関係は?
ETの大好物『リーシーズ・チョコレート』は、ハーシー社が展開する数あるチョコレートブランドの1つなんです。
しかしこれも、最初はハリー・バーメット・リースさんという方が作った会社のチョコレート菓子を、会社を合併することによってハーシー社の傘下に迎え入れたという経緯があります。
リース氏は1923年に創業した当時から、ご自身の作るチョコレート菓子には必ずハーシー社のチョコレートを使用していたんだそうです。
こちらがリース氏。↓
その頃からピーナッツバターカップはお店の一番の人気商品で、これがあまりに人気なので、リースさんは他のチョコレート菓子をつくるのをやめたんだとか。
結局、ピーナッツバターカップだけでリーシーズブランドは米国No.1の大人気チョコレートブランドにまでなってしまったということです。
ピーナッツバターカップは、リースさんが買った大きな家やチョコレート工場の借金を7年で返済し終えるほどの利益を生み出しましたが、そこに至るまでには農家や牛飼い、牛乳の販売や、地元のレストランに食用ガエルを売ったり、ハーシー社の工場で働いたりと、20年も苦労したそうです。
リースさんはハーシー社の工場で働く傍ら、自社のキャンディを開発し販売を続けていたので、ピーナッツバターカップが売れるようになった時にようやくハーシー社の仕事を辞めて、ご自身のビジネスだけで家族を養うことができるようになったのだそうです。
ちなみにリースさんと奥様は16人もの子宝に恵まれていたそうで、大家族を養うためには必至だったんですね。
勉強になるにゃ~・・・
リース氏の会社がハーシー社と合併したのはリース氏が他界した後、6人の息子たちが後を継いでからだそうです。
良かったですよね、ハーシー社と合併してからはきっと、放っておいても売り上げはどんどん上がって子々孫々に受け継ぐべき資産も十分に育って全員潤ったのですから・・・。
まとめ
I just had to have it!!!!
Wow,sooooo cute!!!#ET #movie pic.twitter.com/zmbx5ttgSA— ayako (@Caminar15) September 16, 2020
ETの大好物お菓子を調べていたら、結構壮大なアメリカチョコレート史となって返って来たよ・・・
実はM&Mがどこの会社のチョコレートなのか、リーシーズとハーシー社の関係も今回初めてちゃんと理解しました。
アメリカのチョコレートは甘すぎる向きがあるけど・・・リーシーズのピーナッツバターカップは未だにわたしの大好物です。
ETが食べたのがM&Mではなく、リーシーズ・ピーセスで良かった♪
でも戦時中に兵士を支えたM&Mのすごさも知ったし、3人のチョコレートメーカーについて知ることができたのも、思いがけない収穫でした。
リーシーズはアメリカ一の売上高を誇るチョコレートブランドに成長したけど、爆発的なきっかけを作ったのは紛れもなく、映画『ET』だったようです。
そんなことにも思いを馳せながら、金曜ロードショーを観たいと思います♪